結論(最初に知りたい方へ)
小規模企業共済は、要件を満たす「登記された会社役員」であっても、
別会社に雇用され、固定的な給与所得を得ている場合は加入できません。
これは、FAQの文言解釈ではなく、小規模企業共済の加入窓口(中小機構事務局)へ直接問い合わせ、電話で確認した公式見解です。
この記事では、
- なぜ「表向きは加入できそう」なのに断られるのか
- FAQ674が誤解を生みやすい理由
- 実際にどこで線が引かれているのか
- では、どうすれば加入できるのか
を、実務目線で整理します。
小規模企業共済とは?(制度の前提整理)
小規模企業共済は、
**経営者や個人事業主のための「退職金制度」**です。
加入できる人(制度上の定義)
小規模企業共済制度には、以下の方が加入できます。
- 個人事業の事業主
- その共同経営者
- 小規模企業を経営している会社等の役員
私はこのうち、
**「小規模企業を経営している会社等の役員」**として加入を検討しました。
「会社等役員」とは誰を指すのか
制度上、以下の方が「会社等役員」に該当します。
- 株式会社・有限会社・特例有限会社の取締役または監査役
- 合名会社・合資会社の業務執行社員
- 合同会社の業務執行社員(登記あり)
- 企業組合・協業組合の理事または監事
- 農事組合法人(営利目的)の理事または監事
- 士業法人の業務執行社員
私は、株式会社の代表取締役として登記されています。
この時点だけを見ると、
「加入できそう」に見えます。
私の実際の状況(問い合わせ時点)
- 不動産業を営む法人(株式会社A)を経営
- 代表取締役として登記
- 法人Aは小規模企業者に該当
- 経営に継続的・実質的に従事
- 一方で、別法人(法人B)に雇用され、固定的な給与所得を得ている
ここが最大のポイントです。
実際に中小機構へ行った問い合わせ内容(要旨)
法人Bから給与所得を得ている立場ではあるが、
小規模企業者に該当する法人Aの代表取締役(登記役員)として
事業経営に実質的に従事している場合、
「会社等役員」として小規模企業共済に加入できるか?
中小機構からの公式回答(電話)
結論は明確でした。
要件に該当する登記された役員であっても、
企業から雇用され、固定的な給与所得がある場合は加入できない。パート・アルバイトであれば加入可能。
会社員を辞めていれば加入可能。
つまり、
- 登記の有無
- 経営実態
- 売上規模
ではなく、
「固定的な給与を得る雇用関係があるかどうか」が判断基準です。
FAQ674が誤解を生みやすい理由
おそらく、同じ立場の方が参照するのが、以下のFAQです。
FAQ ID:674(判断基準)
給与所得者(法人などと常時雇用関係にある方)は、
ほかに役員の地位がある場合でも、
小規模企業共済制度にご加入いただくことはできません。
この一文が、すべてを決めています。
「役員であるかどうか」よりも、
「常時雇用関係にある給与所得者かどうか」が優先されます。
なぜ「主たる事業」論は通用しないのか
一般的には、「主たる事業」とは下記のような状態と思われがちです。
- 法人Aの売上 > 給与収入
- 法人Aが実質的な本業
- 経営リスクを負っている
- 毎日業務に従事している
しかし、これらは、加入可否の判断材料になりませんでした。
制度は、
- 生活実態
- 主観的な位置づけ
ではなく、
「固定給を伴う雇用関係があるか」という
形式基準で判断されるようです。
電話問い合わせにて、
「経営リスクを負っている」
「毎日業務に従事している」と主張しても、
「固定給を伴う雇用関係があるか」に話を戻されました。
加入できる/できないラインの整理
| 状態 | 加入可否 |
|---|---|
| 会社役員のみ(給与なし) | 加入可 |
| 個人事業主 | 加入可 |
| パート・アルバイト+役員 | 加入可 |
| 別会社に正社員として雇用+固定給あり | 加入不可 |
| 会社員を退職 | 加入可 |
では、どうすれば加入できるのか
現実的な選択肢は、以下しかないように思われます。
- 会社員を辞める
- 雇用形態を「固定給を伴わない形」に変更する
- 小規模企業共済以外の制度を使う
まとめ|同じ立場の人へ
- 「登記役員+別会社の固定給」は加入不可
- FAQ674はそのままの意味で適用される
- 主たる事業論・経営実態論は通用しない
- 事前に問い合わせる価値は非常に高い
私自身、
「制度上は入れるはずだ」と思って問い合わせ、
初めて明確に線引きを理解しました。
この記事が、
同じ立場で悩む方の時間と労力を節約できれば幸いです。

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