【節税|安定経営】不動産賃貸業における経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の活用方法

不動産賃貸経営

会社を守りつつ、節税をして貯蓄もできるのが、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している経営セーフティ共済です。中小企業倒産防止共済とも呼ばれています。

今回は、不動産賃貸業における経営セーフティ共済の活用事例をお伝えします。

経営セーフティ共済を活用できれば経営が安定するだけでなく、税金のコントロールの幅も広がります。

▼この記事をお勧めする人

● 計画的に修繕積立金を用意したい人
● 赤字に備えたい人
● 節税方法を知りたい人

▼この記事を読んでわかること

● 経営セーフティ共済の特徴
● 経営セーフティ共済を修繕積立金として使う具体的な方法

『経営セーフティ共済』とは?

経営セーフティ共済は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度であり、掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れることができます。

本質的には連鎖倒産や経営難を防ぐための共済ですが、なんと積立てた掛金が損金(経費)に算入できる税制優遇が受けられるのです。そして、掛金の支払いを40ヵ月以上継続すれば、解約時に100%返金されます。

★経営セーフティ共済の特徴★
・掛金が全額経費になる。
・掛金は月額5,000円~20万円の範囲で自由に選べ、増額・減額ができる。
・積立て上限は800万円まで。
・掛金の支払いを40ヵ月以上継続すれば、解約時に100%返金される。
・前納制度を使って1年分をまとめて損金算入できる。
・無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入できる。
・解約金は雑収入として課税されるので出口戦略が重要。
経営セーフティ共済の特徴を理解した上で、経営に活用することで様々なメリットがもたらされます。

経営セーフティ共済を修繕積立金として利用する

不動産賃貸経営で経営セーフティ共済の活用方法として考えられるのは、修繕積立金として積立てておき、大規模修繕を実施した事業年度に解約する方法です。
簡単に言うと積立金が損金(経費)になる定期預金のようなものです。
経営セーフティ共済に10年間加入し、11年目に800万円の大規模修繕工事をする場合を例に考えてみましょう。大規模修繕工事は全額を修繕費(損金)とします。
1年目から10年目まで毎年80万円を積み立てることで、積立金が毎年損金になるため、10年間で合計800万円の損金が発生します。
11年目に800万円の大規模修繕工事を行いつつ、経営セーフティ共済を解約します。大規模修繕工事は修繕費として損金になりますが、経営セーフティ共済の解約金が雑収入として益金になりますので、相殺されて課税所得は0になります。
ここで下記の2点が重要です。
  • 毎年の積立金が保険料として損金になるため、節税になる。
  • 解約金が雑収入として益金になるため、修繕費と相殺できる。
1年目 2年目 ・・・ 10年目 11年目
共済 積立額 80万円 80万円 ・・・ 80万円 0
総積立額 80万円 160万円 ・・・ 800万円 0
保険料(損金) 80万円 80万円 ・・・ 80万円 0
雑収入(益金) ・・・ 800万円
工事 修繕費(損金) ・・・  -800万円
次に修繕金の積立を普通預金や定期預金等の預金で行った場合と比較しましょう。
同じように1年目から10年目まで毎年80万円を積み立てた場合でも、積立金は損金にはなりません。
また、解約金が益金にはならないため、11年目の大規模修繕工事で生じた損金と相殺することができませんので、単年度で多額の損金が発生して赤字決算になってしまいます。
自己資金100%で物件を購入する場合はさておき、融資を利用して物件を増やす場面では赤字決算は避けたいところです。
1年目 2年目 ・・・ 10年目 11年目
預金 積立額 80万円 80万円 ・・・ 80万円 0
総積立額 80万円 160万円 ・・・ 800万円 0
保険料(損金) ・・・ 0
雑収入(益金) ・・・
工事 修繕費(損金) ・・・  -800万円
このように、経営セーフティ共済は「積立金が損金(経費)になる定期預金」のような性質があるため、経営安定化と税金コントロールの両方で活用できます。
経営セーフティ共済の加入条件はこちら
以上、ご参考になれば嬉しいです。

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