【人生観】損益分岐点の考え方で自分に合った会社との関わり方を見つける方法【後編】

会社

こんにちは。ニョロです。

前回は私が考える会社員のメリット・デメリットをお伝えしました。今回は本題の会社との関わり方を損益分岐点で考える方法についてお伝えします。昇進すべきかどうか、あるいは会社に対してどこまで貢献するのが自分に合っているのかを判断するために、損益分岐点の考え方を応用できるようになりましょう。

損益分岐点のおさらい

はじめに損益分岐点を簡単におさらいします。

辞書によると、

損益発生の分れ目となる売上高。一期間の売上高がこの額を超えて初めて、売上高に比例した利益が発生する。

文章だとわかりにくいので図で説明します。

下の図は損益分岐点の考え方を図で示したものです。横軸が売上高、縦軸が費用・利益、青線が売上高線、緑線が総費用線です。

ここで、当然かつ重要なことは、『売上が増えれば全てが利益になるわけではない』ということです。

費用の存在です。

費用は変動費と固定費に分けて考えます。変動費は売上高や操業度に比例して増える費用のことで、販売業における売上原価や、製造業における間接材料費、直接材料費などがこれに該当します。販売業では売上が増えれば商品を沢山仕入れなくてはならないので売上原価が増えます。製造業では操業度が上がれば材料消費量が増えるため材料費が増えます。これに対して、売上高や操業度に関わらず一定額発生するのが固定費であり、販売業であれば店舗の賃借料、工場であれば設備の減価償却費などがこれに該当します。そして、売上高および操業度と、費用(変動+固定)の関係を示したものが図中の緑の総費用線であり、売上高に比例して大きくなります。前提として、利益 = 売上高 ー 費用ですから、売上高が少ないときは費用の方が上回るため損失を出します。売上高が増え、総費用線売上高線が重なる点を超えると、やっと利益が出ます。この総費用線と売上高線の交点のことを損益分岐点と呼びます。正に辞書の通りです。『損益発生の分れ目となる売上高。一期間の売上高がこの額を超えて初めて、売上高に比例した利益が発生する。

利益を最大化するために

ここで、多くの利益を得るためにはどうしたらよいのかを考えましょう。答えは簡単で、損益分岐点を引き下げて可能な限り左下に移動させればよいのです。

損益分岐点を左下に移動させるためには2つの方法があります。

1つ目は、売上高線の傾きを大きくして損益分岐点を引き下げる方法です。販売業で原価が同じままで商品の販売価格を上げる方法や、製造業で同じ製造ライン、同じ材料を利用して新商品を出して高値で販売する方法がこれに該当します。費用が変わらなくても利益を増やすことができます。

2つ目は、変動費と固定費を下げる方法です。販売業で店員を減らしたり賃借料の安い店舗に移転する方法や、製造業で低価格の材料に変更したり電力消費の小さい加工条件に変更する方法がこれに該当します。売上高が変わらなくても利益を増やすことができます。

企業の利益増加と成長はこの損益分岐点を引き下げる努力の賜物といえるでしょう。

損益分岐点の考え方を会社員に当てはめる

それでは、損益分岐点の考え方を会社員に当てはめましょう。

ここでは先程の損益分岐点の図の項目を以下のように読み替えています。

横軸(売上高・操業度) → 給与・社会への貢献度

縦軸(費用・利益) → 犠牲・給与所得

総費用線 → 総犠牲線

売上高線 → 給与・貢献度線

変動費 → 流動的犠牲

固定費 → 固定的犠牲

いかがでしょうか?図にしてみると何となくしっくり来ると思います。

サービス残業などがなく適切な労務管理がされている限り会社への貢献度が上がれば給与も増えます。また、給与以外にも会社から経験、体験、知識も得られるはずです。これが売上に相当するものです。他方で会社員の費用になる部分は『犠牲』としました。なぜ犠牲と表現したかというと、所得税、住民税、社会保険料といった法定上引かれるお金以外の部分も会社員の費用として考える必要があるからです。つまり、会社への貢献と引き換えに犠牲なるものを費用として考えます。また、犠牲についても固定的な部分と流動的な部分に分けます。固定的犠牲に分類されるものは、異動や単身赴任で自由な場所で暮らせない暮らしの犠牲、決められた部署や人間関係の中で仕事をしなくてはならない精神力の犠牲などです。また、貢献度に比例して増加する流動的犠牲の代表的なものは時間の犠牲です。そして、給与・貢献度から犠牲を差し引いたものが会社員としての利益として残ります。また、貢献度に見合った給与が得られたと思ったところが損益分岐点になります。これは会社員として働いているとなんとなく感覚的にわかるかもしれません。会社員として長くやっていこうとするならば損益分岐点以上の所で働き続けなくてはなりません。

会社員で利益を最大化するには

先程、企業活動で利益を増やすためには損益分岐点を引き下げて可能な限り左下に移動させればよいとお伝えしました。この考え方は会社員の損益分岐点の考え方にも当てはまりますが、企業の利益増大計画よりも制限が多いことに気が付きます。なぜならば、会社員で給与を増やすには昇進するしかないからです。(稀な事例として、特許などの功績で会社から多額の報奨金を得ている人もいます) 昇進すると給与が増えますが、同時に責任や業務量が増えたり、場合によっては異動を命ぜられることもあります。つまり犠牲も増えるのです。企業活動で利益を増やすには高値で売ったり、費用を減らしたりできましたが、会社員はそうではないことがわかります。これを図に示すと以下のようになります。給与が増えると犠牲も増えるため、損益分岐点はあまり変わりません。

会社員として頑張り続けようとするとどうなるか

更に会社員として頑張り続けようとするとどうなるのかを見ていきましょう。会社員でいる限り給与の増加には上限があります。そして、昇進すると犠牲は増える一方です。つまり、会社員として頑張り続けると、下の図のように損益分岐点が右上に(悪化方向に)移動し、会社への貢献度を更に上げないと利益が得られない状態になります。私はこれをカゴの中のハムスター状態と表現します。ハムスターは存在しない出口を求めて自由の効かないカゴの中で最期まで走り続けることになります。

かなり私見が入っていることは承知しています。しかし、終身雇用&年功序列の崩壊が進行している今日、会社員が時代の変化に対応して自由を獲得するためには健全な危機感を持って行動を起こすことが最良の手段となることをここではお伝えしたいのです。

自分に合った会社との関わり方を見つける

それでは、次に示す3ステップで自分に合った会社との関わり方を見つけましょう。

自分の価値観マップを作る

はじめに、自分の価値観マップを作りましょう。縦軸に重要か重要じゃないかを、横軸に楽しいか楽しくないかを設定し、縦と横の組み合わせの4つの領域を埋めます。人生経験でかかった様々なバイアスを抜いて、自分の感性にあてはまるように自由に書き込んでみましょう。『心を豊かにするために住居に投資する』でも紹介しましたが、これが自分の行動や考え方の基準になります。

その会社に所属して自分の時間を費やす理由を考える

その会社に所属する真の理由は何かということを自分で考えましょう。これは単に会社で働いてお金を稼ぐためという理由に留まりません。入社当初は自分の目標を実現したいから、あるいは何らかの魅力を会社に感じたからその会社を選んだのではないでしょうか。それをもう一度思い出してみましょう。思い描いていた夢は会社生活の中でドリームキラーによって消されていませんか?

自分にとっての損益分岐点がどこにあるのかを知る

先程説明した損益分岐点の考え方を使って同じ時間働いていてもお金を多く貰え、犠牲も増えない美味しいポイントを見つけましょう。手段は昇進でも転職でもOKです。年功序列&終身雇用の文化が存在する会社の場合、労働に対する対価(給与)は若い頃は低いのですが、歳を取ると増えることが当たり前でした。しかし、そのような時代は終了します。もしあなたが年功序列の幻想が刷り込まれた30代だとしたら、あと20年後には年功序列&終身雇用の文化は完全に崩壊しているので、先輩世代のように歳を取って労働以上の対価を貰えることはありません。ですので、会社だけに依存するのは非常に危険です。だからこそ、会社員でいるのであれば時間単価を最大化し、他の収入源を見つけるための自由な時間を取り戻しましょう。

ニョロの場合

私の価値観マップは以下の通りです。人生の目的である『重要だし、楽しい』領域には家族と共に田舎暮らしをすることや、優良な金融資産を増やすこと、選択・時間・経済の自由を得るなどが含まれますが、その中に『文明の進歩に関わる』という項目があります。これが私が会社に所属して自分の時間を費やす理由であり、会社は文明を進歩させる手段なのです。また、私の考え方を発信して、微力ながら誰かに影響を与えて文明を進歩させることが当ブログの趣旨でもあります。

では、会社員である私にとっての損益分岐点はどこかという話をします。私は暮らし方をデザインし始めた20代の頃から経済的自由を獲得したいという思いがありました。それを早期に達成するためには時間単価を最大化しなくてはならないと考え、目立つ仕事を自分で見つけて形にしてきました。その結果、最短で昇進して残業時間が半分程度でも同じ給与を得られる状態になりました。当然、犠牲部分も増えましたが、労働に対する対価はそれなりに一致している実感はあります。しかし、更に上を目指すとなると犠牲部分が増えることは明らかです。特に暮らしを中心に据えている私にとって異動は最悪なので当然断ります。それによって評価が下げられたとしても構いません。そればかりか一定の貢献度を維持できる自信があります。なぜならば、『文明の進歩に関わる』ことが私の『重要だし、楽しい』ことだからです。何度も言いますが、会社はその手段に過ぎません。

会社が社員に対して主体性を求めてくるのならば、社員は自分の人生に対してもっと主体的になるべきなのです。少なくとも会社都合で住みたい場所に住めないなど問題外です。業務計画よりも人生計画の方が、製品設計よりも人生設計の方が先なのです。

損益分岐点の考え方で自分に合った会社との関わり方を見つける方法について2回に渡って解説しました。この記事が皆様の道を開くための原動力になれば幸いです。

 

おわり

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